ギルの物語|第14話 “ポータルの崩壊”

アレキサンドライトから飛び降りたギルは風のクッションを利用し、地上へと激突すること無く着地した。

『遅かったか』

しかし、エルフのポータルは破壊された後だった。エルフの聖域は、この世界へとその姿を現していた。破壊されてから、少し時間が経っているだろうか、遠くに見えるエルフの城からは煙が見えた。近くには魔物と戦う、エルフ達の姿も見える。防御線を張っているのだろう、その中には見知った顔も居た。

『セシル、ティア。大丈夫か?』

『ギル? ええ、私達は。でも、私達を逃がすために父上が城に。一体、光の神殿で何があったのです? この魔物達はどこから?』

『説明している暇はない。城の方は俺に任せておけ、お前たちはここの守護を頼む』

『はい。父上を……お願いします』

エルフの城へと行く途中、物陰から小さなエルフが現れる。年は若く、少年だが、キリッとした雰囲気を持ったエルフだった。その佇まいからは才能の片鱗を伺わせた。

『僕も連れて行け』

『お前は?』

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『シエルだ』

ギルの脳裏にまた、夢の情景が浮かぶ。これと似たようなエルフと出会ったことがあるようなデジャヴを感じた。しかし、ハッキリとは思い出せない。

『分かった。助けている余裕は無いぞ』

『問題無い。ミケ、こっちへ来い』

そう言うと、シエルは使い魔である猫を肩へ乗せる。そして、ギルとシエルはエルフの城へと向かった。

エルフの城は炎によって包まれていた。魔王の率いる軍団によるものだろう。瓦礫と化しつつある城の周りには、魔物達で埋まっていた。残念だが、これではもはや、フィール王は……。

『シエル。まずは、あいつらを一掃する。出来るな』

『問題無い』

2つの風が戦場を駆け巡る。日が陰る頃、ギルとシエルは魔物の一掃に成功していた。ただ、城は跡形も無く焦土と化しており、また、この魔物達も先遣隊に過ぎないのは明らかだった。じきに本隊が来るだろう。それまでに、パールシュタインが間に合えばいいのだが……ギルはシエルの様子を見る、さすがに疲労の色が感じられるが、シエルの魔法の強さには驚くばかりだった。

『やるじゃねぇか、魔法を誰に習った?』

『独学で勉強した。僕は縛られるのが嫌いなんだ。風は、どこまでも自由だから』

『何故、今回の戦いに参加した』

『僕の勉強場所をあいつらが破壊したからだ』

『そうか、なら、徹底的にぶっ壊さないとな』

ギルがそう言った時、戦場に散らばり横たわっていた魔物達の死体がフワッと持ち上がる。それは、奥の魔神へと向かい、吸収されていった。

『派手にやってくれたじゃない』

現れたのは今までとは格の違う魔神と新たなる魔物、そして、ダークエルフの軍勢だった。ダークエルフ達も今となっては破壊者に支配された手先であり、亡者の軍勢に過ぎない。その中には……フレイラの姿があった。ギルは使命感にも似た思いと共にフレイラの元へと駆ける、それに気づいたフレイラは掠れた声でつぶやく。己の最後に残された意志を振り絞って。

『ギル、私を……殺せ』

『フレイラ……すまねぇな』

ギルは飛翔する。超魔法石の力によって魔神達を払いのけると、ギルはフレイラの前へと辿り着く。フレイラは自身の意志とは関係なく、ギルを倒そうと攻撃を行う。だが、敢えてギルはそれを避けなかった。ギルはその衝撃と哀しみを忘れぬ痛みとして、心に刻みつけた。

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『ギル……ありがとう。最後に頼まれてくれないか、リリィを、生き残ったもう一人の娘をよろしく頼む』

『任せておけ』

そして、ギルの風の刃がフレイラを貫いた。

『あらあら、もうやられちゃったの?』

司令官と思しき、魔神が声を上げる。ダークエルフ達を捨て駒にしか思っていないことは、その声から明らかだった。

『お前達は何者だ。どこから現れた? それは、目的は何だ?』

『それはね、私にも何も分からないわ。純粋な怒りが私を支配しているの。その怒りが、この世界を破壊しろって囁くのよ』

『そうか、お前に聞いてもしょうがないってことだな』

『誰に聞いてもしょうがないわ、ここで死ぬあなたにはね』

『さっさと始めよう。俺は今、機嫌が悪い』

ギルの風が、魔神達を取り囲んだ。


“ギルの物語” 第15話へ続く

ギルの物語

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