ギルの物語|第2話 “ダークエルフの森”

『そこのお前、止まれ!』

『おっと、さっそくお出ましか』

ギルが森へと入ると、いつの間にかダークエルフ達によって、周りを囲まれていた。戦いたくは無いが、最悪のケースも想定しなくてはならない。ギルは密かに魔法の準備を行う。もし、攻撃されたなら“精霊術”によって、この場を一気に掌握する。そういう予定だった、しかし

『そこまでだ』

喉元にナイフを突きつけられる。不覚にも後ろを取られていたようだった。ギルは両手を挙げる。仕方ない、降参するなら、早い方がいい。相手は躊躇するような奴らではない。それに、あいつが居れば……

『どうするつもりだ?』

『もちろん、この地を侵したものには死んで貰う……何てな、久しいな、ギル』

『おいおい、フレイラか、驚かせないでくれ』

『はは、すまない、友人を見たら、悪戯したくなるのだよ。我々はダークエルフだからな』

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フレイラ。若くしてダークエルフを率いる長だった。若くしてとはいえ、エルフ族の寿命の尺度は人間のそれよりも悠長だ。ゆえに、ギルよりも長く生きているのは間違いない。

『どこへ行く。私がここに居なかったら、無事通れる保証はなかっただろう。先程も来客があってな、パンダの軍団がこの地へと来たが、丁寧に送り返してやったさ、ボスだけは奥へ逃がしてしまったが』

『それは、朗報だな』

『なんだ、あいつらが嫌いなのか?』

『派手好きは好かん』

『はは、お前らしい適当な理由だな。それで、ここに何の用だ』

『夜城の噂を聞いてな、それを確かめに行く』

『ふむ、そうか』

ギルはフレイラが少し考え込む様子が引っかかった。何か隠しているのかもしれない。ダークエルフの森は夜城が噂される場所から1日程度の距離にある。フレイラが何か知っているのは間違いなさそうだ。

『何かあったんだろ?』

ギルはカマを掛けてみることにした。

『ああ、お前の直感は誤魔化せんな。うちの斥候部隊も何名かが行方不明になっている。今は近づかないように命令を出しているところだ。行くのはやめた方がいい』

『俺の性格は知ってるだろ?』

『止めても聞く奴ではなかったか。好奇心は時に仇になるぞ』

『好奇心を取ったら、何も知り得ないぜ、フレイラ。そうだな、お前の仲間もついでに助けてやるよ、もちろん、生きてたら、だけどな』

ギルは直感で生きていると感じた。何故なら、噂が広がるのが早すぎるからだ。誰かが意図的に広めている可能性が高い。ただの殺人鬼ならば、ひっそりと事を運ぶ。わざわざ、強者を呼び寄せるような真似はしないはずだ。

『はは、お前は誰にでも優しいな。ダークエルフに優しくするものなど、この世界にはほとんどいないぞ』

『俺は美人に優しいだけだ』

『お世辞でも嬉しいよ』

『お世辞ではないがな、まあいい、ここは通らせて貰うぜ』

『分かった。護衛と案内をつけよう、サフィーナとヒルダだ、腕は保証する』

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フレイラが合図をすると、2人のダークエルフが現れる。あまり俺にはいい感情を抱いていないようだった。無理もない、ただの人間が、ダークエルフの長と普通に話しているのだから。

『フレイラ、ちょっと待ってくれ、その保証された腕で逆に殺されそうだ』

『安心しろ、私達は無闇に殺しはしない、ただ、感情を殺すのも苦手なんだ。命令に背くような行動には映らんさ、人間は感情を殺すのがうまい分、逆に怖い。お前だって、何を考えてるか分からんからな』

ああ、そうかもな。ギルは心の中で呟く。

『そうか? じゃあ、案内を頼むよ。森を抜けるところまでで大丈夫だ。ありがとうな、フレイラ』

『はは、気にしないでくれ』

歩き出すギルに、サフィーナとヒルダは付いて来ていた、後ろにピタリと。外から見たら、連行されているようにしか見えない。道案内というが、後ろに付いてきて、一体どうやって?

『違う、右だ』

そう思ったとき、声がした。サフィーナは右へ進むときだけ言葉を発し、

『違う、左だ』

とヒルダは左へ進む時だけ言葉を発した。悪気は無いのだろうが、何という不器用な奴らだ。

ある程度進んだ時だった。ギルは離れたところから魔力の放出を感じた。増幅系の魔法だ。サフィーナとヒルダは気づいていない。無理もない、上級の魔法だ。刹那、魔力を帯びた石が粒のように飛来する。石は輝きを放つ宝石だった。宝石の魔法ということは、取り逃がしたパンダのボスか。あの王様だな、まったく、何を考えてやがる。

『2人とも、俺の後ろに隠れろ』

ギルの言葉に2人は反応しない。その言葉を理解してはいても、信用はしていないようだった。

『ああ、もう、仕方ねぇな!』

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ギルは無理矢理2人を抱き寄せる。そして、防御魔法を展開すると、宝石の粒をすべて受け流して見せた。強力な攻撃魔法だが、ギルの精霊術はそれを容易に受け流す。

ダークエルフの2人は無事だったが、それよりも抱き寄せられたことを怒っているようだった。

『お、お前、ふ、ふざけるな』

声を合わせる。彼女達は、感情を殺すのが本当に苦手のようだった。

『ありがとうよ、ここからは大丈夫だ。フレイラによろしく言っといてくれ』

呆然とするサフィーナとヒルダを置いて、ギルは風のように消えていった。

“ギルの物語”第3話へ続く。

ギルの物語

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