ギルの物語|第3話 “竜人 キリク・リーリク”

『ちょっといいか』

『食事中だ。後にしてくれ』

『後にしたら、無くなっちまうだろ』

『欲しいのか?』

『ああ』

『やらんぞ』

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ギルが食事の匂いを嗅ぎつけたのは森をもうすぐ抜けようかという所だった。急いで出発したギルは食料の備蓄が少なく、それも全部消費してしまっていた。そんな時に焚き火と香ばしい料理の匂いに引き寄せられたのは仕方ないことだろう。

『そこを何とか、な、宝石ならあるから』

『ほう、まず、見せろ』

『おい、勝手にわしの宝石を交渉材料に使うな』

『いいじゃねーか、宝石じゃ腹は膨れねーし』

ギルの後にぬっと現れたのはパンダの王、ティグルス・パールシュタインだった。パールシュタインはギルと合流し、一緒に夜城へ向かうことにしたのだ。まともに戦えばお互いに厄介だと思っていたのもあるが、ギルは食料が尽き、パールシュタインも部下をダークエルフの襲撃で送り返えしてしまい、その際に食料も失っていた。つまり、戦うメリットが無かったのだ。食料が無いのに宝石を大事そうにたくさん身に付けているのには、ギルも、はぁ? と言ってしまったものだが。

『お、うめーな、これ、何て言うんだ』

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『野生のホエーレ豚だ。それを、一流の料理人が加工し燻製としたものだ、保存も効く、旅の必需品だ。旅は体力勝負だ。そもそも、お前らロクな準備もせず、何しに来た?』

ギル達はキリクと名乗る竜人に食料を分けて貰い、一心不乱に食べていた。

『パールシュタイン、言ってやれ』

『うむ、星4つだな』

『そうじゃねぇ』

この世界には竜人と呼ばれる種族がいる。その中でも、赤竜人と呼ばれる種はホエーレ山に住み、戦闘的な種として知られていた。特徴的なのは、武器を使わない格闘術に優れているところだった。そこでは年に1回、格闘大会が行われ、優勝者はその年の一番の勇者として認められるという。その今年の優勝者がキリク・リーリクだった。

『竜人はいつもこんなうまい物を食べているのか』

パールシュタインが興味深そうに聞く。見かけ通り、食い意地の張った奴だ。

『ああ、料理人次第だがな。うちの国では料理人にもランクが存在する、特に一番上の特級料理人が作る料理は味だけでなく、体力を補うのにも最適な料理を作る』

『料理の話はもういいだろ、目的の話をしようぜ』

ギルが口を挟む。パールシュタインはムッとした様子を見せるが、再び食事に集中したようだった。

『俺は夜城を目指している。最近、竜人が何人か行方不明になってな。赤竜人だけでなく、白竜人も何人か行方不明だ。それで、ここに辿り着いたという訳だ』

『なるほどな、俺達も目的地は同じだな。まあ、目的は異なるが、せっかくだし、竜人を助け出すのに協力しよう。白竜人は美人も多い』

『お前達の目的を聞いてもいいか?』

『ああ、俺は好奇心、パンダは新種の宝石の噂を聞きつけての話だ』

『まったく……飯をあげるんじゃなかったぜ』

そう言いながら、キリクは出発の準備を始める。

『もう、行くのか?』

『ああ、空を見ろ。一雨来るかもしれない。それなら、行けるところまで行っておくのが、セオリーだ。ここでは、雨宿りするところも無い』

いつの間にか空が急に曇りがかっていた。

『そうだな、行こう』

すぐに、雨が降り始めた。しかし、空は雲に覆われているが、おかしな点があった、ギル達の頭上にある雲が、まるで、追尾するかのように動いているのだ。小一時間ほど歩いたが、間違いない。上空の雲の動きだけが常に一緒だった。

『さてと』

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何らかの攻撃かもしれない。あたりの気配察知のために、ギルは葉っぱで作った戦士を作り出す、魔力の触媒でもあり戦士でもあるそれを、ギルはリーフファイターと呼んでいた。

『何か見つけたら、いつも通り、ワラワラと集まれ。ただし、危害は加えるな』

リーフファイターを辺りへと放つ。そして、少し経ったとき、

『ふ、ふえ〜、気、気持ち悪い〜』

リーフファイターがワラワラと詰めかける場所から、声が聞こえた。そこに居たのは、人魚の姫だった。

“ギルの物語”第4話へ続く。

ギルの物語

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