ギルの物語|第6話 “革命前夜”

あれから10年の月日が流れた。

あの戦いの後、零夜の城から行方不明になった者達たちは無事に、しかも傷一つなく見つかった。零夜の目的は今でも謎のままだが、あれ以来姿を見ることもない。

冒険も終わりそれぞれが自分の国への帰路に就いたが、パールシュタインだけは不満そうな顔をしていた。どうやらお目当ての宝石の類はなかったらしい。普段から偉そうだったしいい気味だ。

そして今日まで10年の月日が経つまでに俺は何度かそれぞれの国を訪れたが、皆元気にやっているようだった。キリクは恐竜の住む山奥でずっと修行をしているらしく、シーラは勝手に飛び出すせいで、配下達を困らせているようだ。彼女の住む紫翠城は年に数回しか地上に現れないから、この話を聞くのにも苦労はしたが。

……

『ギル、居ますか、ギル!』

セシルの声がする。今、ギルはエルフの森に近い場所に住んでいた。

『ギル!』

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この声はティアも一緒だな。あの兄弟は仲がいい。最近は一緒に行動しているのを良く見掛ける。ティアが成長し、狩りを好んで行なっているのが、兄としては気が気でないらしい、心配性の兄バカとはこの事だ。

『2人してどうした? 何かあったのか?』

わざわざ2人で来たということは、俺に何かやってほしい事があるのだろう。セシルだけの頼みなら平気で断るが、ティアも一緒では断るのは面倒くさい。セシルもそれを分かっているので、断られたくない時はテイアと一緒に来るのだ。

『父が、フィール王があなたに会いたいと言っています』

『エルフの王が?』

エルフは幻想世界へ他の種族を立ち入らせることが滅多にない排他的な種族だ。セシルとティアの友人というだけでやすやすと入れるものではない。ギル自身も1回も入ったことは無かった。何か重大事件が起こったと考えられるかもしれない。鬼が出るか蛇が出るか、もしくは両方か。どれも歓迎だ。

『分かった。用件は向かいながら聞かせて貰おう』

『はい、急ぎましょう』

『ギルは当然、エルフとダークエルフの諍いが解決していないのはご存知ですよね』

『ああ、馬鹿らしいとは思っているが、知ってはいる』

『種族間の諍い、蟠りというのは、なかなか解消できないものです。それで、この前ですが、ある事件が起こりました。こちらとしては身に覚えの無いことですが、ダークエルフの子供が何者かにエルフの弓で射られて……殺されたのです。それ以来、ダークエルフの中では、我々を許さないという怒りの声に包まれています』

『つまり、その弓で射た何者かがエルフであると、向こうはそう思っているんだな』

これにはティアが答える。

『そうなの。でも、私がいくら調べても、そんなエルフは居なかったわ。それに父上も、ダークエルフには絶対に手を出さないようにって厳命している。それを破るようなことは考えられない。だから、これはダークエルフ側の陰謀だって言うものも出始めてるの』

『災いの種は一旦撒かれると関係なく育ち始める。自分達の主張、感情を肥料としてな。エルフとダークエルフを争わせようとする第三者が居る可能性もあるな』

ギルはそう予測する。そうだとして俺が呼ばれた理由は……もう、当事者間での話し合いがもう効力を発揮しないケースなのだろう。

『そうなの。でも、今は犯人探しよりも和解への道を模索しなきゃって兄さんと話したの。それで』

ギルはダークエルフの長であるフレイラとは友人関係にあった。フレイラはダークエルフとしては珍しく、聡明で話が通じる。ただ、仲間想いが過ぎるところがあった。今は板挟みにあっているのが容易に想像出来る。戦いを避けるべきという心と、仲間を殺されたことに対して、けじめを付けなくてはいけないという心で。

『分かった』

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『まずは父上に会ってください。そこのポータルを潜れば、私たちの世界へ行けます』

セシルとティアの案内でギルはポータルを潜る。その先はエルフの幻想世界が広がっていた。外部からの干渉を隔絶できる空間、エルフの聖域と呼ばれる場所だった。

『ここが聖域か』

素直に感心する。

『ギル、見て回るのは後でお願いしますよ。こっちへ』

『ああ、分かってるよ』

幻想世界のさらに奥、睡蓮に包まれた池を橋で渡った先にエルフの王城があった。そこで、ギルはフィール王と対面する。

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『ご苦労だった。話は聞いているだろう』

『セシルから聞いた。それで、俺にフレイラを和解の説得をしてくれっていうんだろ?』

『少し違うな。我々はエルフとダークエルフとの確執は根深い。君にはダークエルフを説得してほしいというのは正しい。ただ、和解ではなく、降伏の使者となって欲しいのだ』

『ちょっと待ってくれ、対等な立場での説得で十分だろう、そもそも、何でお前達は……』

その時、エルフの伝令がフィール王の元へと帰ってくる。その報告を聞いたフィール王はこう言ったのだった。

『残念だが』

ちっ、早まったな、フレイラ。

『たった今、フレイラが反乱を起こした』

“ギルの物語”第7話へ続く。

ギルの物語

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