ギルの物語|第9話 “光の神殿”

光の神殿へと近づくに連れて、滞留した魔力が濃くなっていく。大規模な戦闘があった証拠だろう。回りには、ダークエルフの死体、そして、見たこともない魔法生物が転がっていた。魔石を組みわせて作っているのだろうか、少なくとも、この世界に存在している力の法則とは、異なものだと感じられた。

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『ギル、この変な構造物は何だ?』

『ああ、何だろうな。正直なところ、俺にも分からん』

『最近はホエーレ山でも見たこともない生き物が現れているが、こいつらはまた、不思議な生物に見える』

『怖いですね〜』

『とりあえず、先へ進むしかない』

少し離れた所、光の神殿の方で大きな音が聞こえた。ゴゴゴゴゴという地鳴りと共に、遠くで陸がせり上がっていくように見える。その後方には、大きな門が鎮座していた。禍々しさを感じさせるものの、まだ、開いては居ない、閉じている門が。

『あれ、陸じゃないです〜』

シーラがビックリしたような声を出す。陸がせり上がったように見えたもの、それは、巨大な魔法生物だった。

『まるで、ちょっとした山だな』

その魔法生物の背中には少女が乗っていた。伝承が確かならば、あれが“守護者”だろう。

『わらわの聖域を侵すもの達よ。断罪のゴーレム、ギア・アトムスの裁きを受けよ』

その声がギル達にもハッキリと聞こえた。ゴーレムと呼ばれた魔法生物を通して話しているに違いない。何かの攻撃を行おうとしているのは分かった。しかし、この悪寒は……まさかこの距離で届くというのか。ギルの直感がそう告げていた。

『危ないな』

『何だと? この距離でか』

パールシュタインが言うのも無理はない。あのゴーレムは遥か向こうに見える。あそこまで辿り着くのには10分以上は掛かるだろう。だが、未知の事態に遭遇したとき、それを常識で推し量るのは愚者だ、咄嗟の判断が要求される局面では、直感こそが最適解を生み出しうることをギルは知っていた。

『障壁を張る。パールシュタイン、宝石で増幅しろ』

ギルの本気が伝わったのだろう。パールシュタインも反論はしない。

『分かった、早くしろ』

『ああ』

ギルが防御の障壁を張り巡らす。何層にも重ねられた強靭なそれは、逆にこれから来る衝撃の大きさを物語っていた。遠くで守護者の乗るゴーレムが光を放つ。それは光の輪となって、放射線状に広がっていく。それはギル達の地点へも向かっていた、触れたものをすべて破壊しながら。

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『しゃれになんねぇぜ、まったく』

『あ〜れ〜』

光の輪は、幾層に重ねられた防御壁の何層かを一瞬にして溶かしていく。さらに周りの薙ぎ倒された木々がギル達の元へと降り注ぐ。防御壁の中は無事だったが、猛烈な嵐が生み出すような、大きな音が反響していた。

『おい、大丈夫か』

『ああ、心配するな』

ギリギリだがな。ギルは心の中で追加した。

『やれやれです〜』

瓦礫のように積み重なった木々からシーラが顔を出す。続いて、他の3人も払いのけるようにして、地上へと踊り出た。

『とんでも無い力だな。先に行っている、ダークエルフ達はただでは済むまい』

パールシュタインが言う。確かにその通りだ。ダークエルフ達が生き残っているとは思えない。遠くでは、まだ、ゴーレムが立っていた。ただ、さすがに連続して使えるような技ではないらしい、今は稼働を停止しているように見えた。

『今のうちに、一気に近付く。いけるな』

3人は頷いた。かつて、夜城へと訪れたもの達だ。脅威にさらされても、その目に恐れはない。それぞれが、守るべきものの為に戦っている。だから、あれが何者であるか、知らなければならないという思いがあった。

ギル達が近付くにつれ、惨状が明らかになっていく。巨大なゴーレムの攻撃によって、多くのダークエルフ達の死体がそこら中に転がっていた。そして、光の神殿へと辿り着く。

『お前らもわらわの聖域を侵すつもりか?』

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そこで、ギル達の前に現れたのは、ゴーレムを操っていた“守護者”だった。

『そのつもりは無い。ただ、知りたいだけだ、この力が何なのかを』

『本来ならば、誰もここへは来れないのじゃ。ゆえに、知る必要も無い。帰るがよい』

その時、ギルの頭に記憶がフラッシュバックする。10年前の夢以来、ギルは誰かの追体験であろう夢を定期的に見ていた、そして、この光景は夢の中でも見たことがある映像だった。そこの中での彼女の存在、それは。

『“お前は守護者か、この世界へと授けられた創造者の”力”を守るものの1人』

『貴様、何故、知っているのじゃ?』

『何故だろうな、俺にも分からないよ“パンドラ”』

『ならば、前言撤回じゃ、帰らぬでよいぞ。ここで死ぬがよい』

再び、パンドラによって、魔法生物が動き出す。その時、一条の光がパンドラを包んだ。

“ギルの物語”第10話へ続く。

ギルの物語

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