ギルの物語|第10話 “魔界門解放”

パンドラを一条の光が包む。それは、パンドラ自身から放たれたものではなかった。

『フレイラ!』

それを放っていたのはカイムだった。隣にはフレイラが居た。無事だったか、しかし、よく見ると、傍らには2つのダークエルフの死体があった。サフィーナとヒルダだ。彼女たちが身を挺して、フレイラを守ったのだろう。ギルは複雑な気持ちを抱く。彼女達が死んでしまったこともそうだが、フレイラは正気を保っているのだろうか、と。

パンドラへと魔法を放つカイムは服が破れ、赤く変色した体が見えていた。ゴーレムの攻撃を受けた影響だろうが、本人はほぼ無傷に見える。

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『貴様、わらわを縛り付けるとは、それにこの力、何者じゃ』

光に捕われ、身動きの取れなくなったパンドラがカイムを睨みつける。

『あなたが膨大な魔力を消耗し、隙を見せるのを待っていました。それでも、守護者のあなたを完全に滅ぼすには時間が掛かってしまう、だから、転移させることにしました。これは、時を圧縮する魔法。あなたは時空の狭間を彷徨い、時間が高速で過ぎ去る世界で暮らして貰います。といっても、帰ってくる世界は無いとは思いますがね、私の力ではありませんよ、本来はこの世界で行われている研究の一つを拝借したまでです』

ちっ、そもそも、事の発端から、あいつの仕業か。ダークエルフをけしかけて、パンドラの魔力を消費させたのだ。ダークエルフ達の命と引き換えに。

『フレイラ。あなたは先の門へ行きなさい。やる事は分かってますね。もう、ダークエルフ達の魂を解放する術は、あの門へ行くしかありません』

『ああ』

『フレイラ!』

フレイラの声には力が無かった。多くの惨劇を目の当たりにして、正常な判断能力を失っているようにも見える。

『ギルか、はは、結局、お前を巻き込んでしまったな。すまない、だが、もう、私も止まれない。止まるには多くのものを犠牲にし過ぎた。しかし、あの門を解放すれば蘇る』

『フレイラ、目を覚ませ。そんな都合のいいことは無い』

『もう、選択肢は無い。ギル、止めるなよ、例え、私が死ぬことになってもな』

フレイラは神殿の奥へと消えていく、そして、パンドラもまた、時空の狭間へと消えていった。

『待て、フレイラ!』

『おっと、そこまでです』

パンドラを封じた、カイムが立ち塞がる。

『邪魔をするな』

『そう言われましても、邪魔をするのが、私の仕事ですから』

飄々として様子で話す。こいつは本当に何者なんだ。

『言ったでしょう、人呼んで、愛の伝道師だと。愛とは面白いものです、愛と憎しみは表裏一体。彼女もまた、愛に満ちあふれていた。だからこそ、憎しみに変わったときも大きいなものになる。愛が憎しみに変わる瞬間ほど、楽しいものはありません、あなたもそう思いませんか? ギル』

『それが合っていたとしても、お前は気に食わねぇ、だから、ここで殺す』

ギル、そして、他の3人も同じ意見だった。

『手伝うぞ、ギル』

『俺も同意だ』

『憎しみなんて、悲しいだけなのですよ〜』

『嫌われたみたいですね。それも、また、気持ちのよいものですが、ギル、あなたなら分かってくれると思いましたけれど、残念です』

カイムの周りに炎の塊がいくつも召喚され、降り注ぐ。パールシュタインは宝石でシールドを貼り。シーラは水の鉄砲でそれらの起動を反らしていた。

『キリク、行くぞ』

『了解だ』

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その攻撃を防いでいる間に、キリクとギルが前進する。キリクは極端に低い姿勢で突進し、炎の塊をかわすとカイムの前へ立ち、回転しながら、蹴りを叩き込む。致命傷には至らないが、カイムの動きを止めるには十分だった。そして、ギルの風の刃を伴った手刀が、カイムを真っ二つに切り裂いた。

『相変わらず。容赦ないな、お前は』

『ああ、そういう主義なんでね』

体を引き裂かれたカイムは最後に笑いながら話し始める。

『私を倒してももう遅い、始まりますよ。最高に面白いショーがね。これで、あの方も喜びます』

カイムは黒い霧となって四散し、それらは、魔界門へと吸い込まれていった。いつの間にか、魔界門は開いていた。それは、カイムだけじゃなく、辺りのダークエルフの死体をも吸い込んでいった。

『フレイラ!』

ギルの声がこだまする。しかし、それの答えはどこからも、返ってはこなかった。

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“ギルの物語”第11話へ続く。

ギルの物語

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