零夜の物語|第2夜 “接触”

蒼き光を放つ、水と自然の星。そこにリ・アースから脱出したアリス達は居た。

突然現れたメフィストフェレスの魔法で強制的に脱出させられたアリス達だが、禍々しく巨大な結界に囲まれているリ・アースの姿を見て只事ではないのは察していた。ただ、何が起こったのかはまるで分からなかった。当のメフィストフェレスもやれやれと言い、ルミアの元へと戻っていったため、詳しいことが聞けなかったためだ。

『一体、何が起こっているの?』

アリスの問いに誰も答えられない。この場にいるのは観測者として目覚めていた、アリスとシュレディンガー(ダークアリス)、ファリア、プリシア、シャルロッテだった。

『かぐやさんは、無事でしょうか……』

脱出出来たはずなのに、と言いながらシャルロッテは心配していた。

『あそこに戻りましょう』

『うん』

『そうだな、放っては置けない。ミリアム達も心配だ』

アリスが言い、それにプリシアとファリアも答える。

『ラピスを倒した……そう思ったけれど、もしかしたら、生きていたのかもしれない。今、あの星で起こっていることは只事じゃないわ。まるで、あれは』

『呪い』

凛とした声が響く。声の聞こえる方向には和服を着た少女が佇んでいた。アリス達は咄嗟に身構える。

『吸血鬼、まだ生き残りが居たなんて』

『私は御影零夜。零夜でいいわ。アリス』

『御影? あの吸血鬼の娘ね』

『ええ、そうよ。でも、安心なさい、今回は戦う為じゃない、あなた達に頼みがあって来たの』

『あの結界と関係があるの?』

『ええ、そうよ。あれを黙って見ていて欲しいの』

『何もするなって言うわけ? 簡単には納得出来ないわね』

『今のあなた達に出来ることはない。むしろ、通常の方法で干渉すれば、あの“化物”に取り込まれるだけ。あなた達の力まであれに加わってしまえば、誰にも手が出せなくなってしまう』

d27b9392-5332-4316-b79d-9fd56b86d4d9.jpg

『化物って誰のこと?』

アリスが聞く。

『かぐや』

零夜が答える。

『かぐやさんが、何故!』

シャルロッテは悲鳴に近い声をあげる。だが、アリスには思い当たる節があるようだった。

『まさか……』

『そう、アリス、最初から会っていれば、あなたなら気づけたかもしれない。かぐやもそれに気づいていたのでしょう、目的を悟られないために極力、あなたとは接触しなかった。彼女の望みである、フィースシングを生き返らせるという目的をね』

『フィースシング? それも、あの結界と関係があるのね』

『アルハマートやミリアム、あなた達も竜人と融合すれば、大きな力を得られるのは先の戦いで見たでしょう? あれもそう、竜人と融合したかぐやが作り出した過去を再構築する結界。時還(ときかえり)という力によって、あの世界は過去の場面を再構築し“紙芝居”のように再現しながら、世界を昔へと回帰させていく。かぐやはフィースシングが殺される瞬間を再構成して、助けるつもりなのでしょう。けれど、あれは、魔法と呼ぶには強すぎる神の力。不完全な形で発動させてしまったものに回帰に抗う術はない。動き出した時還の“ルール”は発動者ですら止められず、過去へ戻るために力を吸収し続ける。既にかぐやと対峙した、ルミアとシェヘラザードはもう取り込まれてしまった』

『ルミアとシェヘラザードが……かぐやに意志はあるの?』

アリスはそう言って、シェヘラザードとの邂逅を思い出す。ラピスは最悪ではない。そう彼女は言っていた。その最悪が、これだと言うの?

『今は意志を残しているわ。けれど、フィースシングを助けるという望みを叶えた後は、歴史を食い続けるだけの存在と成り果てる。そして、最終的にその存在も消え、時還の呪いはこの世界の全てに伝播する』

『事情は分かった。でも、黙って見ている訳にはいかない。あなたなら、出来る保証はあるの?』

『私は父から永劫の“血”を、母から、先を見通す“眼”を継承した。私は殺されても彼女には吸収されない、ゆえに、私なら自我を保ったまま、あの結界の中へ侵入し、そして、戦える』

『だから……』

de4069b0-ef77-4970-8304-0a9419ba9206.jpg

零夜の左眼が銀色に輝く。

『私があの世界へと入り、過去へと遡りながら、“かぐや”と戦い続ける』


“零夜の物語” 第3夜に続く

零夜の物語

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー

FoW World - ストーリー