零夜の物語|第6夜 “侵入”

零夜が最初に降り立ったリ・アースの過去世界、それは、かぐやがフィースシングを救った、20年ほど前の世界だった。本来の歴史では、クトゥルフとの戦いが終わった頃の世界。ここが、時還によって、作られた世界。

遠くの広場で、子供達が泣いている、子供達は旅人の紙芝居を見ているようだった。

『しくしくしく……』

取り憑かれたように泣く子供達に、その親達が不思議そうに聞く。

『どうしたの?』

『あのね、全部、全部、悲しい物語なの』

子供達は答える。紙芝居は悲しい物語に満ちているようだった。それでも、泣き続けるのはおかしい、零夜は不思議な魔力が紙芝居から発せられるのを感じた。

『まだまだ、あるんだよ、聞いてくれるかな? あと、"千夜"分はあるの。その全部が全部』

紙芝居をしていた、旅人はそう言って続ける。

『極上のバッドエンディング』

紙芝居から、闇が影のように伸びる。それは、子供達の下へと潜り込み、悲しみに包まれる子供達をすべて飲み込んでいった。

親達は悲鳴をあげる。構わず、さらに紙芝居は続く。

『こうして、この街から子供達は1人残らず消えてしまったのでした。めでたしめでたし』

この行為自体も物語の一部だったのだ。そんな、悲しいことを、旅人はとても、嬉しそうに話していた。

『新しい物語が増えたから。また、喜ぶわね……"かぐや"』

零夜は気づいていた、紙芝居の旅人が誰であるかを。

『シェヘラザード』

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旅人も零夜には気づいていた。いや、待っていたのかもしれない。

『零夜、追って来たのね。そうね、私が言ったものね、失敗したなら、あなたしかいないって、ごめんなさいね。でもね、今の私はもう時還の存在の一部。だから、あなたもこっちへいらっしゃい。私はあなたが簡単には死なないって知ってるけど、それもいいの、だって、長く苦しめば苦しむほど、極上のバッドエンドになるもの』

『切り裂け、十六夜月下』

声と共に、零夜がシェヘラザードの胴体を切り裂く。その胴体の中身には、おおよそ人間らしいものは何も入っていなかった。代わりに中から、人形達がわんさかと飛び出してくる。さっき吸収した、子供達にそっくりの人形だった。

『強くなったのね。いや、力を解放したのかしら』

シェヘラザードは倒れながら言う。その目には何の感情も、驚きも含まれてはいない。

『でも、後ろには注意しないと駄目よ』

零夜の背後に現れたのは、"時還の魔女"と化したかぐやだった。

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突然の出現、かぐやの右腕が黒い剣となって零夜を貫く。それは、何の躊躇もなく、心臓を貫いていた。血が吹き出し、零夜の剣へと流れ落ちる。剣はその血を吸って赤く輝いていた。そして、かぐやは零夜の存在を吸収しようとする、しかし、零夜の永劫の力がそれを拒絶した。吸収できないと知ると、かぐやは諦めたように闇へと消えていく、次の世界へと、再構築を始めるようだった。シェヘラザードもまた、闇へと消えていく。

『……また、会いましょう。シェヘラザード。待っていなさい、最後はあなたを救ってあげる』

『楽しみにしているわ。零夜。でも、これは、救いのない物語かもしれないわよ』

零夜もまた過去へと消えていった。



零夜の物語

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