「七世界の王」第3章 頂上会談への道

七王にはそれぞれ信念と思惑がある。だが、その思惑を実現させるには、この世界が存在して貰わなくてはならないというのは一緒だ。世界が無くなれば彼らの思惑も水泡と化してしまうだろう。アリスの言うことの真偽に関わらず、この世界そのものが危機に瀕していると言われれば、七王である彼らに取っては憂慮しなくてはならない事象となる。そして、いくつかの王にとっては世界を支配するための、利用すべき事象ともなるだろう。七王が集えば必ず何かが起こる。それぞれの思惑が交錯したとき、七王が集う頂上会談は実現への道を歩み始めていた。

アリスがヴァランティーヌとの会談を終えたころ、聖王ファリアは炎王メルギスと再び剣を交えていた。メルギスの苛烈なまでの剣技は大地を揺らし風をも燃やす、しかし、ただ1人、ファリアには触れることができない。

「無駄だ、お前の剣はもう見切っている」

「貴様ッ。ならば、これを、神技『魔剣解放』!」

メルギスの神技が爆発的な炎の塊となりファリアを襲う。しかし、ファリアが聖剣エクスカリバーを振ると、その炎はファリアへと届く前に宙へと霧散した。

「炎王よ、私に一度見た技は2度と通用しない。今度はこちらから行くぞ、我が剣をその身に刻め! 侵略者よ!」

力を消耗したメルギスにファリアの剣を防ぐ力は残っていなかった。ファリアの聖剣がメルギスの魔剣を弾き飛ばすと、メルギスは地に伏し、戦いは決着した。

「これまでだ、メルギス。約束通り、私に従ってもらう」
ファリアはメルギスに剣を突きつける。

「ふん、好きにしろ」

「まずは、その性根を叩き直したいところだがな、時間がない。少しの間、私に協力してもらうぞ」

「さて、アリスもうまくやっているかな」

ファリアは遠く、海の方を見てそうつぶやいた。

一方その頃、翼王アーラと獣王プリシアにもファリアからの伝令が届いていた。

空中庭園と呼ばれる空に浮かぶ居城アルマラを統べる翼王のアーラ。秩序を重んじる彼は、空の世界を守ることを第一に考えている。しかし、その世界そのものが脅かされるとなれば、動かざるを得ない。

「最近は空が騒がしい。何かの兆候かもしれない。私も会談へと赴こう、そう聖王に伝えてくれ」

ファリアの伝令へと受諾を表明する。しかし、その瞳には不安の色が広がっていた。
「何か悪いことが起きなければ良いが」

風の行方はいつの間にか変わっていた。だが、その行き先は誰にもわからない。

そして、世界樹を中心とした、古の森シセイを根城にしているのが、獣達を率いる七王のプリシアだ。ただ、彼女自身にとっては、その仲間、友達と共に暮らしているという感覚でしかないだろう。ファリアからの伝令の話を聞くと、彼女は友達である獣達と相談を始める。

「どうしようかなー、楽しそうなら行こうかな。みんなはどう思う?」

この森で育った彼女は獣達と意志を通わすことができる。

「そっか、じゃあ、行こうかな。うん、決めた、でも、あまり遠くは嫌だな、場所はどこ? あと、友達も連れっていっていい?」

獣達の甲高い鳴き声がシセイの森に今日もこだましていた。

・・・

「そうか、ご苦労だった」

ファリアは伝令からの報告を受けると現状を振り返る。

「これで、メルギス、アーラ、プリシア、そして、私の4人か。後は‥‥」

「ふう。ファリア、今、帰ったわ」

帰還したアリスがファリアの前へと現れる。

「ちょうどいいタイミングだ。どうだ、ヴァランティーヌとの会見は、うまくいったか?」

「そうね、気味が悪いほどにすんなりと」

「そうか、よっぽど君のことを気に入ったのだろう」

「昔から、変な人には気に入られやすいのよ」

「そうなのか? 確かにそうは見えるな」

「失礼ね‥‥まあ、いろいろあったから、今度、不思議な国の話をしてあげるわ、昔話になっちゃうけど」

「ふふ、嘘はつけない性格でな。それは楽しみだ。そうだな、その話、ぜひ、妹にもしてやってくれ。喜ぶ」

「約束するわ」

「世話をかけるな。さて、ヴァランティーヌは何て言っていた?」

「機王のマキナには話を付けてくれるらしいわ、一応、不死王のレザードにも話しておくとは言ってた、ただ、彼らは野心家だから、世界を救うよりは、七王が集まることを利用する形になるでしょうね。だからこそ、協力してくれるはず、と言ってたけど。私が思ったのは」

「一番の野心家は君だろう? じゃないのか?」

「そうなのよ」

「ふふ、容易に想像できるよ。七王は誰も一筋縄ではいかない、全員が集まるとなれば、逆に派手な動きはできないと思うが」

「そうだといいんだけど」

「では、場所を決めねばな。そうだな、世界樹の麓にある、霊樹の丘でいいだろう。ヴァランティーヌから連絡があり次第、期日を決める。できる限り、早いほうがいい」

「ええ、そうね。まずは、そこで、私が「あいつ」がこの世界を吸収しようとしていることを話すから」

「うまくいくと良いな。私が全力でサポートする。思うようにやるといい」

「ありがとう」

未来への道は光に照らされ確かに動き出していた。ただ、そこには1つの影も映し出されていたのだった。



2015年11月5日 木曜日

物語"七世界の王"

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