「七世界の王」第4章 ブレイザー襲撃

ヴァランティーヌからの連絡を受け、アリスとファリアはグロリアの居城から頂上会談の場である霊樹の丘へと向かっていた。しかし、目的地まであと少しというところまで近づいたとき、何かが彼女達に迫ってきていた。そして、その異変に最初に気づいたのはアリスだった。

『あれは、何?』

何か遠くから謎の物体が近づいて来ている。その物体はまっすぐに迷いなく、こちらに超高速で向かっており、その姿はみるみるうちに大きくなっていく。それは、その物体は少女だった。

『きゅいーーーんっと。あ、ファリア、見っーーーーけ! 久しぶりー! ちょっとそこの変な人、どいてどいて!』

『えっ、ファリアの知り合い?』

『ああ、あれはプリシアだ。アリス、避けた方がいいぞ』

『は、早くいってよ、もう、間に合わな‥‥あぁぁぶなぃぃ‥‥』

ファリアが言い終える間もなく、その恐ろしい速さで突進してきた謎の生物、いや、少女はファリア‥‥の前に居たアリスに壮大にぶつかった。ぶつかった方とぶつけられた方、どちらのダメージが多いか、それは誰の目にも明らかだろう。

『あいったー。もう、獣は急には止まれないってことわざ知らないのかな! 私はプリシア、どこの誰だかしらないけど、あなたはどこの誰!』

プリシアがアリスに詰め寄る。しかし、当のアリスは普通にのびていた。事象だけを考えるなら、超高速の物体に突進されたのだから、無理もないだろう。

『む、む、むぎゅー』

『ちょっと、人の言葉で喋ってよ、私が獣と仲間だからってバカにして!』

『ふふ、アリスはまだ、喋れないようだな。元気そうで何よりだよ、プリシア。仲間のみんなは元気にしているか?』 

『うん、元気だよ。最近はちょっと、この世界自体が騒がしいみたいで何か起こるかもって言ってる。今回も1人で行くって言ったんだけど、危ないからって四聖のみんなも付いてきちゃったし』

『そうか、世界樹の周辺でもそう感じられるなら、やはり、そうなんだろうな』

『何か起こるの?』

『それを教えるための、この会談だよ。さて、そろそろ、アリスを起こして向かわないとな。約束の時間に間に合わなくなってしまう』『起こすなら、私に任せて! せーの、えいっ!』

アリスはその後、プリシアに叩かれると生死の境を軽く彷徨って、目覚めることが出来た。安静にしているよりも、多くの時間が掛かってしまったのは言うまでも無い。

『もう、何なのよ、この子は‥‥ひどい目に遭ったわ』

『私はプリシア。よろしくね!』

『ええ、よろしく』

不機嫌そうにアリスが答える。確かに、変なのに絡まれるのはアリスの運命の体質とでも呼ぶべきものだったが、それにしてもこの世界でまで、と思っていたのだった。

『顔に出てるぞ、アリス』

『えっ、そう、そんなに?』

『ふふ、いや、そうでもない、そんな感じなんだろうな、って思っただけさ』

『もう、冷や冷やするから、やめてよ』

『何、二人だけで話してるの。私も混ぜて混ぜて!』

『そうだな、もう少し談笑していたいところだが、そろそろ着くぞ。霊樹の丘だ。もう、他の七王は先に着いているようだな』

世界樹の近く、霊樹の丘には、すべての七王が揃っていた。その光景は今までに無いような緊張感を生み出していた。それは、無理も無いのかもしれない。七つの王と1人の来訪者、8個のレガリアがこの空間には存在しているのだから。

『遅かったわね。ファリア、それに、アリス』

『すまないな、ちょっと、予期せぬことがあってな。さて、全員揃っているな、七王のみんな、まずは礼を言わせて貰おう』

ヴァランティーヌが出迎えると、ファリアがそれに答える。ファリアの声は他の七王には聞こえているようだが、返答は無かった。アーラは上空にたたずみ、メルギス、マキナ、レザードは他の七王をけん制しているようだった。

『さて、今日集まって貰ったのは、この世界そのものについてだ。ここにいるアリスは別の次元から来た存在だ。信じられないかもしれないが、その力は確かに私たちにないものを持っている。まあ、しかし、アリス自身についてはいいだろう。問題は、ここ次元に来た理由の方だ。ここからは、アリスに話して貰った方がいい。アリス、頼む』

『ええ、わかったわ』

ファリアに促され、アリスが話を始める。

『私がこの次元に来た理由はある人物を追って来たの。順を追って話すと、そうね、まずその人物、「あいつ」のことについて話すわ。私の生まれた次元は地球と呼ばれていた。でも、その地球も今は‥‥ない。私の追っている「あいつ」が私の故郷、地球を滅ぼしてしまったから。その理由は定かではないのだけれど、「あいつ」はその能力で次元そのものを支配して、吸収し、力を持つアイテムとしてしまう。だから、多分、今「あいつ」が持っているレガリアの1つは地球の成れの果て。でも、地球はそのすべてが吸収されたわけじゃない。私のように次元を渡ることで脱出したものや吸収しきれなかった可能性が他の次元へと飛んでいったの。この世界の記憶に地球の記憶から生まれたものが居るのはそのためだと思う』

『この円卓の騎士とやらもその名残というわけか』

『興味ないな。だから何が起こるというんだ?』

『アリスとやら、結論を急かすようで悪いが、早い話が、つまりこの世界もそいつにより、狙われているということだろう? では、ここにその奴がいるという根拠は?』

メルギスは自らの魔剣と召喚の力を解釈し、レザードは興味なさげにアリスの話を聞いていた。そして、マキナはアリスの話に質問を投げ掛ける。少なくとも、話は聞いて貰えているようだとアリスは思った。ただ、マキナの側ではマリーベルがじっとアリスを覗いていた、まるで、存在を分析でもするかのように。

『「あいつ」はいくつか直属の眷属を使役しているの。その内の1人が、私が前に居た次元へと来ていた。地球の生き残りである、私を追って来たのか、それとも、本当の理由は別にあるかもしれないけど。私はそいつを撃退し「あいつ」の主の元へと帰るように仕向けた。そして、追ってきた次元がここだったの。だから、間違いなく、この次元に居るわ。そして、居る理由は1つしかない』

『この次元の支配』

ヴァランティーヌがアリスの代わりに答える。

『そうね。そうだと思う。私もこの世界に来てから、地球の近くに居る感覚を受けていて、まあ、これは確証の理由とするには遠いかもしれないけど、今までにこんなことは無かったの。それに、なぜかずっと忘れていた「あいつ」の名前を思い出したのよ。多分、これも、この次元に来たことが、「あいつ」の近くに来たことが影響しているんだと思う。そう、「あいつ」の名前は‥‥』

『ちょっと待って‥‥何か来る!』

アリスの話が終わろうとしたとき、何かの気配を感じたプリシアが吠える。今度もまた、謎のものが遠くからこちらへ向かっていたのだった。先ほどと違うのは、プリシアがこの場所にいるということだろう。それは、プリシアではなく、もっと、禍々しく明確な目的を持った存在。見えるのは、髑髏を操るピエロのような存在だった。

『あの、髑髏は、ブレイザー! もう、本当に本当にしつこいんだから!』

『あれが、あなたの言っていた眷属? 任せてもいいのかしら?』

ヴァランティーヌは落ち着いた表情でアリスとファリアに問う。その答えは分かっているとでもいうような表情だった。

『ああ、そうだな、ちょうどいい、会談は少し休憩の時間にしようか』

『私も手伝うよ!』

ファリアとプリシアはそれぞれのレガリアを持つと、アリスと共にブレイザーへと向かっていった。


2015年11月23日 月曜日


物語"七世界の王"

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